月経に関する疾患

月経痛とは、文字通り月経時にみられる痛みのことです。
痛みの程度には個人差があります。
月経の時は、『プロスタグランジン』という物質が子宮内膜からでて、子宮をぎゅっと収縮させて血液を押し出すようにします。
この子宮がぎゅっとなる時に痛みが強くなります。
また、プロスタグランジン自体が痛みを引き起こす物質でもあるので、より月経痛を感じます。
子宮収縮の強さやプロスタグランジン（痛み物質）への感受性は個人差が大きいため、人によって月経時の痛みの感じ方は違います。
月経痛が強い人の中には、個人の感受性の差異だけでなく、『子宮筋腫』や『子宮内膜症』といった月経痛をより強くさせる病気を持っている人もいます。
また、月経時に下腹部痛、腰痛、頭痛、吐き気などの症状が伴い、それらが日常生活に影響を及ぼしているときも「月経困難症」を疑いますので受診してください。
治療を検討します。

「私の生理は多いのかな？」
「これって少ないの？」
「月経3日目まで、1～2時間おきにトイレにいかないと血液が漏れそうで心配だけど、みんなそんなもんじゃないの？」
月経の量について、日常会話のなかで誰かと話す機会は少ないでしょう。
そのため月経量の異常は、ご自身では判断がつきにくいことも多いです。
月経時の出血量が極端に増えていたり、少なくなっていたりすることがあります。

増えている状態を「過多月経」と呼びます。

• 経血にレバー状のかたまりが混じっている
• 日中でも夜用ナプキンを使わないと経血が漏れる
• ナプキンを1−2時間ごとに交換しないと、経血が漏れる
• タンポンとナプキンを併用しないと、経血が漏れる
• 月経痛の症状がひどい

といった症状が現れます。とくに問題がないケースもありますが、子宮筋腫や子宮腺筋症、子宮がんなどの病気が原因となっていることもあります。

一方、少なくなっている状態は「過少月経」と呼びます。

• 月経が3日で終わる
• 月経期間中ずっと少ない日用ナプキンで問題がない

閉経が近い方は自然と過小月経となる方もいますが、原因としては、

• ホルモンバランスの乱れ（＝排卵障害）のためきちんとした月経がきていない（ストレス、過食・拒食、長時間運動をする環境にずっといる、体質）
• 妊娠初期の症状
• 子宮内膜の癒着
• 子宮発育不全
• ピルなど薬の作用

といったことなどが考えられます。
とくに、若い方が月経がきちんときていない状態を長く放置すると不妊の原因となる場合や、若年齢の閉経直前の場合があります。
なるべく早めに医療機関を受診するようにしてください。

月経前症候群は、月経前の身体的・精神的な不調が強くて日常生活に影響がでてしまう状態です。 こんな症状に心当たりはありませんか？

不正出血とは、月経以外の時期、あるいは閉経後に膣から出血することです。
大きくわけて、生理的なものと、病的なものがあります。

生理的な不正出血は、いわゆる排卵期出血とか中間出血といわれるものです。
だいたいが月経が終わって1～2週間くらいのころ、排卵に前後して少量の出血が2～3日ほど子宮から出ることが多いです。
病的ではない事が多いですが、中には隠れ月経不順とそれに続く子宮内膜増殖症など、他の疾患が隠れている場合があります。
あるいは、月経が始まる前にダラダラと不正出血が続く人もいます。
女性ホルモン・黄体ホルモンを分泌する卵巣機能が順調ではない10代や40〜50代の方にしばしば見られる症状です。
病的ではないことも多いですが、他の疾患が隠れていたり、ダラダラ出血期間が長いと日常生活で困ることもありますので、一度ご相談ください。

病的な不正出血の代表例は、閉経後の出血です。
閉経後の不正出血は1割が子宮体癌とも言われています。
それ以外には、年齢変化や細菌による膣・外陰炎や、子宮内に体液とともに血液が貯留する子宮瘤血腫のような疾患があります。
また、高齢の方では尿道カルンケルといって尿道口に赤いできものができて出血している場合などもあります。
閉経するとついつい産婦人科から足が遠のきがちですが、不正出血があるときは必ず受診してください。
月経がある方の不正出血では、強い膣炎、子宮頚癌、子宮筋腫分娩や頚管ポリープなど子宮の出入り口からの出血と、子宮内膜ポリープや子宮内膜増殖症など子宮の奥からの出血の場合があります。
とくに月経が不純な方の場合、気が付かない妊娠や異所性妊娠（いわゆる子宮外妊娠）の場合もあります。
いずれも、何らかの治療が必要な疾患です。